まちづくりについて
長浜はJR東海道線と北陸線の分岐点米原駅から
北に三つ目の駅である。
駅前通りを東へ少し進んだところに北国街道が南北に走り、北へ入った一つ目の辻から谷汲街道が東へ走っている。
この一帯に広がる中心市街地には過去八つの商店街(現在六商店街および黒壁スクエアー)があり、昭和50年代までは繁栄していたが、車社会時代に入り、郊外開発が進み中心市街地から人が姿を消し始めるとともに、衰退が目立っていった。
この商店街の再生の過程が長浜のまちづくりのドラマである。
昭和54年(1979)秋、中心市街地に立地する二つの大型店から郊外への出店申請が出された。当時、車社会の進展によりすでに市域の郊外への拡散が始まり、都市中心部の重心移動が起こりつつあった。また産業界全般が低調であり、都市全体の活性化策が求められていた。出店申請は中心市街地商店街の人たちの間に強い危機感を生んだ。
活性化策と出店申請の調整が進むにつれ、都市活性化のための考え方がひとつの方向性へと収れんされていった。
市政40周年を迎えた昭和58年、秀吉が築いた3層5階の城が復元された。市の計画を推進した原動力は市民の寄付であり、その総額は4億3000万円にのぼった。400年ぶりの再建を祝い、「長浜出世まつり」と銘打って名種のイベントが繰り広げられた。この盛り上がりがまちづくりの端緒となり、その後の事業推進の大きなエネルギーとなった。
翌59年3月、個性と魅力のあるまちづくりを進める「博物館都市構想」が策定された。博物館都市というのは、市民が育んできた文化や伝統的なまちの雰囲気を現代の生活の中に生かして、まち全体を博物館のように魅力あるコトやモノで覆い、個性ある美しいまちとして住んでいこうというものである。
まちづくり三つの流れ
博物館都市構想のもとに進められたまちづくりの試みには三つの流れがある。
- 市、商工会議所・商店街が一体となり、商業振興と中心市街地商店街の活性化を目指す方向である。垂直型思考を水平型思考に変え、都市魅力創出の方向性を示すとともに、事業具現化のさまざまな仕掛けを行い、まちかど整備事業(昭和61年)、商業観光パイロット推進事業(62年)、民間交流使節団などを推進し、各事業の具現化を図ってきた。
- 「21市民会議」である。青年会議所のOBが中心となって、JR直流化と長浜駅前開発、長浜ドーム球場の建設、大学誘致など、大きな夢のあるプロジェクトを提案した。この市民運動はプロジェクトを具現化する息の長い活動とともに、多くのまちづくりのリーダーを生み出した。第三セクター黒壁設立時の主力メンバーもここから生まれている。
- 株式会社「黒壁」である。黒壁銀行の保存問題をきっかけに、事業化、市、地元企業が出資して設立された黒壁は、パワーあふれる事業展開でまちづくりの力強い牽引車となった。
まちづくり20数年の経過
博物館都市構想のもとに進められたまちづくりの試みには三つの流れがある。
背景 |
大型店出店申請(2店舗)1975年(昭和54年)
郊外の道路建設(バイパス:R8)車社会時代
↓
郊外開発が加速
↓
都市の重心移動(複合機能→単一機能)
↓
人が姿を消す・モノのみが残る
↓
中心市街地の衰退化
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方向性 |
都市活性化の4項目(工場誘致・ホテル誘致・都市の基盤整備・中心市街地商店街の活性化)
※垂直型→水平型思考→時の流れ
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プラン |
- 都市活性化
- 中心市街地の必要性と衰退要因
- 全体の方向性(理論武装)
- 個別(種まき・準備)
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仕掛け |
過去の反省(プランつくるのみ)
試み
- まちかど整備事業
- 民間交流使節団
- 商業観光パイロット事業
- きもの大園遊会
- 芸術版楽市楽座
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合意 |
中心市街地商店街活性化への官民一体の意志
C・I事業(各商店街)
※首尾一貫性・知的好奇心・洞察力
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事業 |
ローコスト・地域資源の活用・点・線・面
事業主体→多種多様(夢の共有)
↓
先行投資
補完的投資
新規投資
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◎イマージネイション
◎人的ネットワークの必要性
中心市街地再生の主要事業
ハード整備
- 中央駐車場(昭和62年11月)
- 表参道改修(昭和63年~平成元年)
- 大手門通り石畳化(平成元年)
- 黒壁の事業展開(平成元年7月~)
- 博物館通り景観形成(平成7年~)
- 大手門通りアーケード大改修(平成9年)
- 空き店舗対策モデル事業(ゆう壱番街)・プラチナプラザ4店舗(平成9年)
- ゆう壱番街ファサード整備(平成10年)
- 曳山博物館(平成12年10月)
- ゆう壱番街アーケード大改修(平成15年)
- まち家succes横町(大型空き店舗対策)(平成16年~平成18年)
ソフト事業
- きもの大園遊会(昭和59年~)
- 芸術版楽市楽座(昭和62年~)
- 馬酔木展(平成元年~)
- ゆう歌舞伎(平成9年~)
その他
- イルミネーション事業
- 秀吉博(平成8年)
- 一豊・千代博(平成18年)
中心市街地再生(活性化) 構想・計画
- 博物館都市構想(昭和59年)
- 商業近代化地域計画(昭和60年・平成3年)
- 中心市街地活性化基本計画(平成10年)
TMO事業構想(平成10年)

※ゼロから200万人→ビジネスチャンスが生まれる
│
│(賑わい性の回復)
│(昭和62年~平成21年:約70件余りの空き家・空き店活用)
↓
しかし問題点・課題山積
- 中心市街地居住人口の減少
16,641人
(昭和45年) |
→ |
12,194人
(平成2年) |
→ |
10,762人
(平成17年) |
- 高齢化の進展
夜間人口減少
|
12%減少(平成2年→平成17年) |
高齢化率
|
26,9%(市全体:20,1%) |
- 地元客の来街者数の減少
駐車場・道路幅員・業種構成・営業時間 ・・・ 等
- 来街者数の停滞傾向および空き店舗の活用引き合いの減少
- 住環境の悪化
まちづくりの雑感
- 忠恕の心
- 道徳経済合一説
- 縮小礼賛
- 和敬静寂
- 空間の神はディテールに宿る
- アイドマ
- 暗闇のウィンク
- 未来は時間の延長
- 風景は人と時間が作り上げる
- 歴史あるまちは縁が深い
- 未来は時間の延長
- まちづくりは永遠に終わらない
- 歴史に対応しながら少しずつ変化していく
- フレキシブル
中心市街地活性化(まちづくり)への再チャレンジの過程
- 2006年(平成18年)
都市再生モデル事業(新まち家スタイル)
まちづくり三法改正・住生活基本法 まちづくりフォーラム
まちづくり研修会
まちづくり懇談会
診断・助言事業
- 2007年(平成19年)
中心市街地活性化基本計画策定委員会(07.01.10)
中心市街地商業活性化サポート事業
- 2008年(平成20年)
中心市街地活性化協議会(08.01.22)
- 2009年(平成21年)
長浜市中心市街地活性化基本計画認定(09.06.30)
・・・「博物館都市構想・ステージⅡ」長浜らしく、美しく、暮らし、働き、過ごす
※特別認定まちづくり会社
(新長浜計画株式会社、神前西開発株式会社)
推進体制
1. 中心市街地活性化協議会(商工会議所:黒壁)

2.長浜まちづくり株式会社
設立 |
平成21年8月10日 |
資本金 |
7,200万 |
出資者数 |
23者 |
目的 |
中心市街地エリア(180ha)内のトータルマネージメント
事業企画および事業運営(コンサルティング含む)
※中心市街地活性化協議会との連動
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長浜のタウンマネージメント体制
- 「長浜市中心市街地活性化基本計画」 平成21年6月30日
- 長浜市中心市街地活性化協議会 平成20年1月22日
(駅周辺整備・交流人口拡大・まちなか居住部会)
◎推進体制
- 長浜まちづくり株式会社 平成21年8月10日設立
資本金 7,200万(23人)
市:3000万 商工会議所:1,000万 民間:3,200万
※中心市街地エリア内トータルマネージメント・市域全体のネットワーク
※デベロッパー、コーディネーター、管理運営?
- 株式会社新長浜計画 平成8年6月28日設立
資本金 8,000万(16人)
民間:1口500万
※テナントミックス・駐車場経営(不動産活用)
◎平成21年度 7事業
◎平成22年度 4事業
- 神前西開発株式会社 平成21年8月20日設立
資本金 200万(9人)
小規模事業者 2/3以上
※テナントミックス・駐車場運営(地域生活者との協働)
◎平成21年度 2事業(プラス駐車場運営)
◎平成22年度 1事業
◎平成23年度 2事業予定
- 株式会社長浜まちの駅 平成22年4月30日設立
資本金 500万(4人)
※まちの駅運営(地産地消)
- 株式会社黒壁 昭和63年4月11日設立
資本金 44,000万(44人)
市:14,000万 民間:30,000万
※ガラス産業の育成とテナントミックス(29号館31店舗)
◎平成21年度 1事業(ソフト)
◎その他
- 長浜倶楽部株式会社 平成7年6月5日設立
資本金 5,050万(31人)
※ポイントカード運営・駐車場運営、経理受託
- NPOギャラリーシティ楽座(ソフト)
- NPOまちづくり役場(ソフト)
- 株式会社トライメイト(進学塾)63年設立
- 各商店街(振興組合:5 任意:1)